
初めての金縛りは小学5年生の時で、明け方になった。
開けたドアから母たちの寝室が見えて母の枕元に三人
の男の人が母を見下ろすようにして立っていた。
その時祖母からもらったオルゴールが突然鳴りだして
金縛りは解け、男たちも消えてしまった。オルゴールの
曲は『荒城の月』。シブイ、渋すぎるっ。いい曲だけどね。
次の金縛りは間があいて高校一年生の秋の終わりだった
ように思う。その晩はなんだか寝苦しくて寝返りをうって
ばかりだった。ただ悪寒がして背中のあたりがぞわぞわ
する。寝返りをうつ時に布団から背中が離れるのがすごく
嫌で「背中を守らねば」という気持ちでいた。
しばらくしてまた寝返りをうち背中が布団から離れた時ーーー
バサッ
と音がして背中に誰かがはりつく感じがした。
体はすでに金縛りで動かない。
「とられたっーーーー」
背中をとられた私はパニックになった。
どんなにもがいても後ろの何かは離れる様子もなく、首筋
はたえずゾクゾクする。気持ち悪いし怖いしで必死で母に
助けを求めるが声が出ない。
そう、金縛りの経験のある人なら分かるだろう。口が満足
に動かなくて、出たとしても微かなかすれ声だ。
助けを求められないと分かってもなんとか抵抗しようと
私はもがいた。
(やめて こわい やめて やめて やめて−−−−−−)
必死で声を出そうとしても
「もご もご もご もご」
くらいにしか自分の耳には聞こえない
(やめて やめて やめて)
しばらく努力をするうちに声が出るような感じがしてきた。
「ひゃ、ひゃめて(や、 やめて)」
(おっ これはイケルかも)
私は思い切って力をふりしぼった。ああ、でもまだ口は動かない。
「ひ ひ ひ ひぃひぃ」
「ひゃほーう ひゃがっ ひゃっほーーーーう(やめて やめっ やめてええええーーー)」
解けた。
金縛りは解けた。
でも私の心にはわだかまりが残った。
(こんなので いいのか?!)
そう、これはまだ気合で金縛りを解くなんてことを
知らなかった時の出来事。
季節は秋。今年の怪談はこれで終わりにしようと思います。
怖いお話はまた来年☆





